2023年12月12日
衛星電話とは?特徴とメリット・デメリット、使用方法などを解説
船舶や航空機などで利用されることが多い「衛星電話」。使用するにあたり、メリットやデメリット、活用シーンや災害時の通信手段としてはどうなのかについてご紹介します。
目次
衛星電話とは?
衛星電話とは、地上の基地局の代わりに宇宙にある通信用の人工衛星を通じて音声やデータの通信を行うサービスです。衛星電話間で通信できるほか、一般的な携帯電話や固定電話との通話も可能です。
衛星電話で使用する人工衛星は、「静止衛星」と「周回衛星」の2つに分類されます。
<2種類の人工衛星>
人工衛星 | 主製品と特徴 |
静止衛星 |
◆ 主製品:ドコモ 「ワイドスター」、Softbank 「スラーヤ」
|
周回衛星 |
◆ 主製品:KDDI 「イリジウム」
|
各社の衛星電話は、このどちらかの人工衛星を使用して通信を行っていますが、いずれの衛星通信も、衛星と端末間で電波はまっすぐにしか飛ばない直進性の電波であるため、端末と人工衛星の間にビルや山、建物などがあると電波が遮られてしまいます。
建物内や車内では通話が難しく、別途専用の屋内アンテナや車載アンテナなどを設置するか、屋外に出て通話を行う必要があります。
衛星電話のメリット
広い地域での通信が可能
衛星電話は、ほぼ世界すべてをカバーしています。
そのため、山間部や海上、海外など通信衛星から電波受信が可能であり、また「通信を遮るものがない場所」であれば、安定した通話ができます。
遮蔽物がない山頂や海上での利用には大変適していると言えるでしょう。
また、地上インフラに依存しないため、通信網が発達していない国での通信手段としても利用されています。
通信拠点の可動性が高い
短い期間で通信拠点の設置や撤去・移動が可能です。
衛星電話のデメリット
電波が直進的
衛星の電波はまっすぐにしか飛ばない直進性の電波であるため、建物内にいる際は外に出て通信衛星の方角に対して衛星電話を向けないと通話ができない※のが欠点です。
もともと建物が乱立している場所での通信は不向きで、空が開けた場所での使用が前提となります。
かける方、受ける方も衛星電話を通して受信する場合は、両者が同じタイミングで屋外に出ていて、衛星方向に端末を向けていないと通話が成立しません。
屋外に居てもビルなどの遮蔽物がある場合は電波が届かないケースも多く、ビルの多い都市部や、山が電波を遮る山間部などではスムーズに通話できないというケースも多く聞かれ、また自己と衛星までの間に厚い雲や雨天などで電波の減衰が発生するなど、天候の影響を受ける可能性もあります。
※屋内での通信を希望する場合は、送受信用の専用アンテナの設置が必要となります。
1対1の通話のみ
衛星電話は一般的な電話と同様に、同時に複数人とのグループ通話はできません。社員間や拠点間などに同じ情報を伝達したい場合でも、それぞれと連絡を取らなくてならないため、手間と時間を要します。
通話が集中する本部などでは常に「通話中」となってしまう可能性があります。
通信のリアルタイム性に制約がある
衛星電話は信号が衛星まで送信され、また衛星から地上の別の場所に送信されるため、信号の遅れが発生する可能性があります。
保守サービスがないため、修理に時間を要する
衛星電話は、故障すると修理をメーカーに出して、1~2か月程度は手元にない状態となります。災害時の使用を目的に衛星電話を用意していた場合、その修理期間に災害が発生した際には、せっかくの準備が無駄になってしまいます。
衛星電話の使用方法
同じ衛星電話でも、機種によって使用方法が異なります。
例えば、衛星電話は通信を確保するため、通話を開始する前に
①遮蔽物がない場所に移動
②アンテナのセットアップ
③衛星アンテナレベル(受信レベル)の調整
④発信
の手順が必要ですが、②のアンテナのセットアップ時は、機種によって使用する人工衛星の位置が違うため、それぞれアンテナを向ける方角や角度が異なってきます。
また、④の発信についても、国内の固定・携帯電話への発信については携帯電話と同様の接続方法で通信可能な機種もあれば、国際回線を通じてかける必要があるため、国際電話の要領での発信が必要となるものもあります。
事前に自分が持っている機種の使用方法を理解し、スムーズに使えるように準備しておく必要があるでしょう。
衛星電話の活用シーン
衛星電話は海上の船舶や山の上、航空機上など、広く開けた屋外での使用時に、安定した通話が可能です。しかし、災害時用の通信手段としての衛星電話はどうでしょうか。
衛星そのものは宇宙空間にあるため、地上局が地球上にあっても地震や津波など地上の影響を受けづらいという利点はありますが、デメリットとしてご紹介したように、ビルなどの遮蔽物がある場所や屋内での使用が難しいこと、故障時の修理に時間を要すること、グループ通話ができないために情報集約時間がかかることなどに加え、端末や通信料も高額です。
実際に避難訓練時などでも使い勝手が悪く、弊社のハザードトークに切り換えられるお客様も多数いらっしゃいます。
衛星電話からハザードトークへの切り替え事例
イオン株式会社様
以前は災害発生直後の通信サービス接続不良を解消するため、衛星電話を使用していたイオン様。
しかし、月1回約30社のグループ企業間通信テストにて、電波がうまく届かず、送信側・受信側ともに通信場所を選ばなければならない状況でした。
なんとか災害時でも即決即断できるような通信手段を……と新たな通信機を探された結果、ハザードトークのご採用に至りました。
>詳しくはこちら
東京都下水道局様
災害時などの緊急手段として、衛星電話、災害時優先携帯電話、業務用無線など複数のツールを確保されていました。
しかし、衛星電話は野外かつ遮蔽物がない環境で使用する必要があるなど、通信可能箇所が限られることに課題を感じていらっしゃいました。
その課題を解決するため、ハザードトークが浮上。災害時でも通信性能が高く繋がりやすい無線通話や、写真・動画による情報共有が可能な点、また操作も簡単なことをご評価いただき、ご導入に至りました。
>詳しくはこちら
三重県志摩市消防本部様
大規模災害に備え通信機器の強化を図られるにあたり、それまでご利用の衛星電話は屋外でしか使用できない点に課題を感じ、どこでも通話できる緊急時の通信機器をお探しでした。
ハザードトークは、災害用無線機として官公庁や民間企業の導入実績が多いことをご評価いただき、音声をパケット変換し高品質なデータ帯域で送信することで通話がしやすいことや、全国どこでも無料で話せることでご選定いただきました。
また、災害時だけではなく平時においても、ハザードトークの写真・動画・位置情報共有システムで、現場到着時に災害のようすを撮影し、消防本部と情報共有をしていただいたり、消防無線の不感地域でも通信機能が使えるため、消防無線のサポート機器としてもご活用いただいています。
>詳しくはこちら
まとめ - 衛星電話とハザードトークの違い -
衛星電話は、海上など遮蔽物がない開けた屋外での使用に有効です。
一方で、災害用通信手段としては、屋内やビル影などで使いづらく、グループ通話ができない点や、コストも高く、故障対応に時間がかかることなどから、使い勝手の悪さを感じられる部分も多いです。
その点、ハザードトークM1は衛星電話ではなく、災害時に役立つさまざまな機能を備えているため、災害時用通信手段として下記のようなメリットがあります。
- ● 通話のために屋外に出向く必要がなく、建物内にて通話ができる。
- ● 天候に左右されず使える。
- ● グループ通話で情報集約が効率的にできる。
また、通話は自動録音機能付きで、離席時や聞き逃し防止に役立つ。 - ● 災害時も規制がかかりづらいNTTドコモの法人専用データ帯域もしくは
ソフトバンク、Wi-Fiがつながる場所なら屋外・屋内を問わず繋がる。 - ● 各現場の情報共有及び管理者による現状把握をスムーズに行える
写真・動画共有システム「ハザードビュー」で災害時のようすが可視化できる。 - ● 故障時には代替品のご準備(端末電池保守ご加入の場合)があり安心。
- ● 他の災害用通信端末と比較して、非常に軽くてコンパクトなサイズ感
- ● 「050」「090」「080」「070」番号で、衛星電話等の外線とも発着信が可能。
- ● 通常時もスマホ感覚でご利用いただくことが可能。
…と、災害用通信手段として必要な防災機能を、コンパクトなワンパッケージでお使いいただけます。
無料のデモ機貸出も行っていますので、ぜひ使用感や通話品質を体験してみてください。