2025年2月14日

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南海トラフ地震とは
被害想定(震度・津波の高さ)と事前の備え

「いつ発生してもおかしくない」と言われている南海トラフ地震。
このコラムでは、現状の発生確率や今までの経緯、被害予想や事前準備について、詳しく記載いたします。
地震を恐れるだけではなく、いざという時に慌てないよう、緊急連絡・業務継続に必要な災害時の通信手段確保や家庭での対策を見直して、有事に備えておきましょう。

 

 

30年以内発生確率が「80%程度」に引き上げに
(2025年1月15日発表)

 

政府の地震調査研究推進本部では、長期的な地震発生の可能性を調査する「長期評価」を実施し、公開しています。

地震の発生可能性を表す「確率値」については、毎年その年の1月1日を基準日とした内容に更新されており、2025年も1月15日に更新が公表されました。

 

南海トラフ地震については、
「マグニチュード8~9クラス、地震発生確率は10年以内:30%程度、30年以内:80%程度、50年以内:90%程度もしくはそれ以上」
と公表されました。

地震調査研究推進本部「今までに公表した活断層及び海溝型地震の長期評価結果一覧(令和7年1月15日現在)」より

 

「30年以内に発生する確率」の今までの経緯は、2013年(南海トラフとして確率の算出を開始した年)が「60%~70%」、その後2014年に「70%程度」、2018年に「70%~80%」そして今年2025年に「80%程度」に引き上げられてきました。

 

南海トラフの確率算出は、「同じ場所で同じような地震がほぼ一定の間隔で繰り返す」という仮定のもとに、平均的な発生間隔や、最後にいつ地震が発生したか、また発生間隔のばらつき度合いなどを元にして計算されており、過去の地震から時間が経過するとともに、次の地震の発生日に近づいていくと考えられる傾向があります。

 

地震調査委員会の委員であり、地震や地殻変動のメカニズムに詳しい京都大学防災研究所 西村卓也教授は、「地震の予測に不確定性がある中での1つの数字として捉えるのがいいと思う。南海トラフ地震は過去に繰り返し起きていて、時間の経過とともに次の地震の発生日に近づいているのは間違いない。確率に一喜一憂せず、次の地震に対する備えを強化して、われわれの防災意識を高めていくことが重要だ」とコメントしています。

 

 

南海トラフ地震とは

 

南海トラフ地震の原因

 

「トラフ」とは、海底の長くやや幅の広い溝のうち、最大水深が6,000mを超えないもののことです。最大水深が6,000mを超えるものは「海溝」と呼ばれます。
トラフや海溝は、活発で大規模な地震の発生源となります。

 

南海トラフは日本列島が位置する大陸のプレートの下に、海洋プレートであるフィリピン海プレートが南側から重なり、年間数cmの割合で沈み込んでいる場所で、駿河湾から遠州灘、熊野灘、紀伊半島の南側の海域及び土佐湾を経て日向灘沖まで至ります。

 

南海トラフ範囲図

地震調査研究推進本部 HPより

 

この沈み込みが原因で2つのプレートの境界にひずみが蓄積され、約100年から200年の間隔で、そのひずみを解放する大地震が発生しているのです。

 

 

南海トラフ地震の歴史や経緯

 

南海トラフ地震は、約100~200年間隔で繰り返し発生している大規模な地震です。
過去に記録されている中で最古の南海トラフ地震は、飛鳥時代の西暦684年「白鳳地震」にまで遡ります。下の図のグラフ中にイタリック体で書かれた数字は、地震の発生間隔(年)を表しています。

 

南海トラフ地震年表と地震の間隔

※地震調査委員会「南海トラフの地震活動の長期評価(第二版)」より

 

1361年に発生した正平(康安)東海地震・正平(康安)南海地震以降で見ると、間隔は約100年~150年間隔で繰り返しており、前回の南海トラフ地震(昭和東南海地震(1944年)及び昭和南海地震(1946年))発生後、約80年が経過していることからも、「いつ次の南海トラフ地震が発生してもおかしくない状態」と言えます。

 

 

「南海トラフ地震臨時情報」が発表されたら

 

「南海トラフ地震臨時情報」とは

 

「南海トラフ地震臨時情報」は、南海トラフ沿いで異常な現象を観測された場合や地震発生の可能性が相対的に高まっていると評価された場合などに、気象庁から発表される情報です。

 

気象庁でマグニチュード6.8以上の地震など異常な現象が観測された5~30分後に、情報名の後にキーワードが付記された「南海トラフ地震臨時情報(調査中)」が発表され、その後「南海トラフ沿いの地震に関する評価検討会」の臨時会合での調査結果を受け、()内に該当するキーワードを付けた臨時情報が発表されます。付記されるキーワードの種類は下記です。

 

南海トラフ地震臨時情報キーワード

内閣府「防災情報のページ」HPより

 

2024年8月に宮崎県で震度6弱を観測した日向灘を震源とする地震(M7.1)発生を受けて発表された「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)」は、まだ記憶に新しいですが、これが南海トラフ地震臨時情報運用開始後初めての発表でもありました。

 

 

南海トラフ地震臨時情報が発表されたら取るべき行動は?

 

南海トラフ地震臨時情報が発表されると、テレビやラジオ、インターネット、防災行政無線、広報車などにより情報が伝えられ、政府や自治体からは、発表されたキーワードに応じた防災対応が呼びかけられます。

発表されたキーワード別に行うべき行動は下記です。

 

  • 南海トラフ地震臨時情報(調査中):
    避難などの防災対応を準備・開始するとともに、今後の情報に注意します。

 

  • 南海トラフ地震臨時情報(巨大地震警戒):
    地震への備えの再確認を行うとともに、地震が発生したらただちに避難できるよう準備をします。

 

事前避難対象地域*に居住している住民は、津波警報などの解除後に、浸水想定区域外の避難所や知人宅などに移動して、1週間の事前避難を行います。
事前避難対象地域外の浸水想定区域に居住しているケースでも、地震発生後の避難では間に合わない可能性があれば、同様に津波警報などの解除後に、浸水想定区域外の避難所や知人宅等に移動して、1週間の事前避難を行います。

事前避難対象地域は自治体ごとに定められています。詳しくはお住いの市区町村にお問い合わせください。

 

  • 南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意):
    事前避難は求められませんが、日ごろからの地震の備えを再確認するとともに、地震が発生したらただちに避難できるよう準備をします。

 

  • 南海トラフ地震臨時情報(調査終了):
    地震の発生に注意しながら通常の生活を行います。ただし、大規模地震が発生する可能性がなくなったわけではないことに留意をする必要があります。

なお、南海トラフ地震臨時情報が発表されてから慌てることがないよう、日ごろの地震への備えを事前にしっかりチェックしておきましょう。

 

ビジネスにおいては、発災時の緊急連絡や発災後の業務継続に向け、各所との連絡が必要になります。災害時でも繋がりやすい通信手段の準備は欠かせません。

また、防災訓練の際に拠点間の通信訓練を行うことも大切です。
平時の訓練で「繋がりにくい」などうまくいかない場合は放置せず、より最適な通信手段を見直しましょう。

 

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南海トラフ地震で想定される震度や津波の高さなど被害想定

 

南海トラフ地震の発生地域と震度予想

 

政府の中央防災会議が想定した、最大クラスの南海トラフ巨大地震が発生すると、静岡県から宮崎県にかけての一部では震度7の地震が発生する恐れがあり、隣接する周辺地域の広範囲は、震度6強から6弱にまでなると想定されています。

 

 

南海トラフ 基本ケースの震度分布
内閣府「南海トラフ巨大地震の被害想定について(施設等の被害)」(令和元年6月)より

 

 

南海トラフ地震の津波高

 

津波に関しては、関東地方から九州地方の太平洋沿岸の広範囲で、10mを超える大津波の襲来が想定されています。

下図は発生の過程が多様な南海トラフ地震の1つのケースとして挙げられたもので、実際にこの想定通りに津波が発生するとは限りません。

 

また津波の到達予想時間についても、気象庁が発表する津波警報などは、被害想定における到達予想時刻と一致しない場合もあります。
最大級の場合を想定しつつ、いざという時に慌てないように、日ごろの事前準備をしっかりとしておきましょう。

 

 

南海トラフ巨大地震の津波高

南海トラフ巨大地震の津波高
(「駿河湾~愛知県東部沖」と「三重県南部沖~徳島県沖」に
「大すべり域+超大すべり域」を2箇所設定した場合)
「南海トラフ巨大地震の被害想定(第二次報告)」(中央防災会議, 2013)より

 

 

大地震に備えた事前準備を

 

発災時の緊急連絡やその後の業務継続のため必要な、災害時でも繋がりやすい通信手段の確保が大切です

 

大きな災害が起きると、通常使用している一般の通信網が規制され繋がりにくくなります。
また、災害後も基地局の停電などで長期に渡り各通信キャリアの電波状況が不安定になるケースも多く見られます。

 

災害時にも繋がりやすい通信手段を検討する際に気をつけたいことの1つは、衛星電話やMCA無線は屋内や都心部での通話が難しく、発信者着信者ともに通話時には屋外へ出ている必要があり、ビルなどでエレベーターが止まった中で、通話の必要が生じるたびに階段の上り下りをしなくてはならない事態が発生する可能性がある点です。専用アンテナを設置することで屋内でも利用可能となりますが、有線配線された固定の場所での通話に限定されるため、移動しながら通話することができません。

 

また、ソフトバンクの衛星電話スラーヤは2024年8月31日、MCAアドバンスは2027年3月31日、デジタルMCA(mcAccess e)は2029年5月31日、ドコモの衛星電話ワイドスターⅡは2028年3月31日にサービス終了との発表が出ており、早目のお切り替えご検討をお勧めしています。

 

テレネットの防災機能ワンパッケージ無線機「ハザードトーク」は、遮蔽物の多い都心部や屋内、車内での通話も可能。音声を非常に軽いパケットデータに変換し、限定法人ユーザーだけが使用できるドコモのMVNO(法人専用帯域)データ帯域をはじめ、ソフトバンクとのデュアルSIMや災害時に無料開放される00000JAPAN(ファイブゼロジャパン) などのWi-Fiでも通話が可能です。

 

そしてハザードトークには、1対1の通話はもちろん、ご関係者との情報共有が一度にできるグループ通話機能も付いています。

また、写真・動画を撮影し優先度などを選択して送信するだけの簡単操作で、Googleマップ上にプロットされた位置情報を伴い、グループ登録した端末間や管理画面に共有できる機能も。管理者と作業者、作業をしているメンバー間で速やかに現場状況を共有することが可能です。
令和6年能登半島地震被災地の復興活動でも、各社の電波が不安定な状態が長く続く中、多くの企業様・団体様にハザードトークをご活用いただきました。

 

サービス終了が発表されている、衛星電話スラーヤ、MCAアドバンス、デジタルMCA(mcAccess e)、衛星電話ワイドスターⅡをご利用中の企業・団体様には、早目のお切り替えご検討をお勧めしており、お得な乗り換えキャンペーンも実施しています。
無料のデモ機貸し出しも行っておりますので、ぜひ通話品質や機能をお試しください。

 

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ご家庭での備え

 

ビジネスでの備えと同時に、ご家庭での備えも大切です。
平時より、お住いのエリアのハザードマップを確認し、避難場所や避難経路、家族間での連絡方法などを確認しておきましょう。

 

また、避難生活に備えた非常持出品・防災グッズを所定の位置にまとめておき、3日程度の間しのぐことができる飲料水や食料の備蓄も用意しておきましょう。

 

 

あわせて読みたい!

 

企業・団体様には従業員などの安全に配慮する義務があります。
「揺れるまでに5秒あれば、予告なしの時に比べて80%死傷率が軽減できる」との研究 (出典:東京大学生産技術研究所目黒研究室のレポート『緊急地震速報導入による社会へのインパクト』)があり、少しでも猶予時間を長く確保することが大切です。

 

テレネットの建物用緊急地震速報受信機「ハザードプロ」は、エリアメールより早いタイミングで気象庁より出される緊急地震速報(予報)を受信する他、地震計も内蔵しています。
全館放送や建物入口の自動ドア、シャッターなどの館内設備と連動し、いち早い避難路の確保に役立ちます。

 

建物を所有・管理されている企業・団体様や、工場をお持ちの製造業様はぜひ、こちらもご一読ください。

 

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