2021年7月30日
BCP対策の必要性と始め方は?災害用システムの活用がポイント
大地震などの自然災害やテロのような人的災害など、企業活動においては予測不可能な緊急事態に見舞われる恐れが常にあります。企業の緊急事態における事業継続のための対処法として、最近「BCP」に注目が集まっています。今回は企業がBCP対策をする必要性や、BCP対策に役立つ災害用システム機器「ハザードトーク」「ハザードプロ」について解説します。
目次
BCP(事業継続計画)とは
BCPは「Business Continuity Plan(事業継続計画)」の頭文字を取った略語です。地震や洪水、感染症のまん延、サイバー攻撃、火災事故など予測不能な緊急事態において、可能な限り事業を早く復旧させたり、滞りなく事業を継続させたりするための方針や計画のことを言います。企業の重要業務の被害を最小限に抑え、従業員の安全を守りながら企業活動や運営を滞らせないためには、前もってBCPの方針を決めておくことが重要です。
災害に備えたBCP対策が重要な理由
大震災や集中豪雨など、残念なことに日本では未曾有の災害が頻繁に発生している現状があります。地震は阪神淡路地震を契機に活動期に入り、気象変動により集中豪雨災害は毎年発生しています。そういった災害発生時に事業を継続するためには、あらかじめ緊急時を想定したBCP対策をしておく必要があります。事前に準備しておくことで円滑に従業員に指示を出し、事業に対する被害を最小限に抑えることができるでしょう。
いつ起こるかわからない災害時にBCPがしっかりと策定されていないということは、簡単にいうと企業にとってはかなりのリスクとなります。昨今(2020年、2021年)はコロナウイルスといった感染症まん延による事業継続のリスクが発生しました。誰も予測できない緊急事態に備えてBCP対策をしておくことは、事業継続のために必要不可欠といえるでしょう。
BCP対策の第一歩は災害用システムの導入から
BCP対策の必要性は理解できたものの、まずは何から始めれば良いのかわからないという方もいることでしょう。そんなときは、災害に特化して作られたシステム・サービスを導入すると、少ないコストで最大限の対策効果を得られます。BCP推進に大いに役立つため、災害用システムの活用はぜひ検討したいところです。では、企業ではどのようなものを用意すれば良いのでしょうか。
防災機能ワンパッケージ無線機「ハザードトーク」
災害時において携帯電話や固定電話は警察や消防への通話を優先させるために、一般電話にはすぐに発信規制がかかり、架けようとしてもなかなか架からない状態が数日間続きます。東日本大震災、大阪北部地震、熊本地震、西日本豪雨時など毎災害時に固定電話、携帯電話の通話は困難になりました。「災害時には普通の携帯電話や固定電話には繋がらないもの」と想定して「災害時の通信手段の用意」が必要です。
災害時でも通話しやすい防災機能ワンパッケージ無線機「ハザードトーク」は、スマホ感覚で手軽に扱うことができる小型無線機です。発信規制がかかる音声帯域は使用せずに、通話を都度パケットデータに変換し、専用にキャリアから借受けたデータ帯域を通じてやり取りをするため、一般ユーザのデータ帯域が混んでいても影響を受けづらい「別枠」での通信が確保されています。
そのため、一般の携帯電話が繋がりにくい緊急時においても、複数拠点の情報確認や現場の写真動画のリアルタイムシェア等を迅速に行うことができます。
通話エリアに制限はなく全国どこまでも架けられ、衛星電話の様に通話の度に建物外に出向く必要もありません。また通話方式が1対1通話/グループ通話など、非常用機器として迅速な情報のやり取りができます。
地震発生前の速報受信から、発生時の安否確認、発生後の復旧に向けた情報収集まで、災害時のさまざまな場面で役立ちます。防災や減災・BCP対策において欠かせないツールと言えるでしょう。
緊急地震速報受信機「ハザードプロ」
緊急地震速報受信機「ハザードプロ」は「建物用の緊急地震速報受信機」として多くの工場、ビル、学校に導入されています。
気象庁から2種類の緊急地震速報(予報・警報)が出ていますが、「ハザードプロ」はいずれの緊急地震速報も受信選択でき、地震で揺れる前に緊急自動放送をかけたり、機械類と連携制御させたりして、従業員の身を守り安全な避難に繋げます。
「地震はわずか5秒前であっても事前にわかり、適切な退避行動がとれれば8割の死傷率を軽減できる」と東京大学生産技術研究所からレポートが出ています。少しでも長い猶予時間と退避行動により、圧倒的に地震被害者を抑えることができる「緊急地震速報機の設置」は企業では大切な取組と言えるでしょう。
ハザードプロには内蔵地震計があり、今後予測されている首都圏直下地震にも素早い対応が期待できるほか「鳴動させる震度」や「各種機器を連携制御する震度」をそれぞれ設定できるため、自社の防災基準にあわせて設定しておくと良いでしょう。
例)
・震度4~ 館内放送開始、
・震度5強~ オートドア開放、自動ドア先開け、エレベータを最寄階に着床させる 等
テレビやエリアメール(警報)よりも早く地震情報が入り、自由にBCPに合わせた設定ができたり、避難訓練放送が流せることも緊急地震速報(予報)受信機を設置するメリットです。
企業がBCP対策を行うメリット
企業がBCP対策を行うメリットには、どのようなものがあるのでしょうか。
早期復旧に向けて迅速に対応できる
自然災害や大事故で起こりうる障害や損失を想定し、ケースごとの対策を確認しておくことで、万が一緊急事態が発生しても被害を最小限に抑えることができます。BCPの方針を日頃から社内で共有することで、従業員に対しても緊急時の情報伝達がしやすくなり、事業継続に向けて迅速に対応できるでしょう。
日頃の業務改善や効率化につながる
緊急時を想定したBCPを策定することで、日頃行っている業務内容の優先順位をつけることができます。人員の配置や業務内容の改善、業務フローの見直しと効率化、働く環境の確認など、従業員にとってもさまざまなメリットがあります。
信用性が高まり企業価値向上につながる
自然災害や大事故が発生した際に被害を受けるのは、自社のみではありません。取引先や関連会社も被害を受けた際に、自社だけBCP対策をしていなかったばかりに、自社で製造している製品のサプライチェーンが滞ってしまうことも考えられます。
そのため、緊急事態発生時に企業としてどういった対策を取ろうとしているのかを契約前に確認し、取引先の選定基準として設定する企業が今後は増えてくることも考えられます。取引先にしっかりとBCP対策について説明することができれば、緊急事態でも事業継続に向けて対応できる企業として信用度が高まるでしょう。
企業の社会的責任を果たせる
企業の経営層が積極的にBCP対策に取り組むことで、企業を守る経営者の姿勢を示すことができます。従業員やその家族、取引先、株主への安心感を生み、自治体や地域との関係を強化することにつながります。
緊急時に事業が立ち行かなくなることで、取引先のみならず地域の雇用や金融機関など、直接的・間接的に影響を及ぼすことが考えられます。広い範囲からの影響を予測してしっかりBCP対策を行うことが、企業の社会的責任を果たすことになるでしょう。
BCP対策を行うデメリット
基本的にBCP対策をすることに対して大きなデメリットはありませんが、しいて言えばコストがかかるという点くらいです。自社内でBCPに関するすべてを策定できればよいですが、専門知識が必要な分野を含むことがあるため、専門家やコンサルタントへ依頼することもあります。
業務改善やリスク分散に伴うシステムの導入や改修、サーバーのデータバックアップシステム、従業員の備蓄品の購入、オフィス家具の転倒対策、リモート勤務体制の構築、BCP対策に携わる社員の工数など、今まではかかってこなかったコストがかかってきます。自治体によってはBCP対策の助成金制度を設けていることがありますので、積極的に活用するとよいでしょう。
>>関連記事:災害対策の助成金、活用してみては?
コスト削減という意味でも、「ハザードトーク」「ハザードプロ」といった災害用システムの導入は大きなメリットがあると言えます。対策をゼロから構築するよりも手軽に取り入れることができるため、ぜひ検討してみてください。
BCP対策はできるところから始めましょう
自然災害や事故がいつ発生するのかというのは、誰にも予測することができません。また、事業に対して与える被害の大きさも図り知れないものがあります。BCP対策の着手方法や内容は、企業によってさまざまです。まずはしっかりと自社の業務内容や想定リスクを見直すことから始め、「ハザードプロ」「ハザードトーク」といった災害対策システムを導入するなど、できるところからBCP対策をしておくとよいでしょう。